878: 恋人は名無しさん 2009/07/27(月) 00:48:57 ID:05tsTjluO
わりと最近の出来事。
携帯からなんで、改行等読みにくかったらスマソ。
身バレ、店バレ防止のため、多少のフェイクありです。

登場人物
・俺男(26歳、美容師)
・彼女子(24歳、同僚の美容師)
・客子(27歳、店の客)
・その他店のスタッフ


職場である美容室で知り合った俺男と彼女子。
もちろん店のメンバーにも公認で、付き合って2年を迎えるころ。


客子は、1年くらい前からうちの美容室に通い始めた独身OLなんだけど、
初めての来店から半年を過ぎたころから、来店頻度が異常なペースに。
カット、前髪カット、商品購入(シャンプーとか)…と、月に3度のペースでやってくる。
しかも毎度毎度、デパ地下で買ったような手土産つき。
指名は俺。
商品を買うだけのときでも、
「挨拶したいので、俺男さん呼んで頂けますかぁ~」
と、他のお客さんを接客中の俺をわざわざ呼び出す始末。

881: 878 2009/07/27(月) 00:52:17 ID:05tsTjluO
あげてしまった、ごめん。


まさかこれは…と思ったが、案の定、客子は俺に惚れている様子。
他のスタッフ(彼女子含む)に、
「俺男さんのことが好きなんです★協力して下さい★」
と相談まで持ち掛け始めた。
もちろん、俺と彼女子が付き合っていることは知らない。
見かねた他のスタッフが、
「アイツ彼女いるんですよ」
と、諦めるよう促しても、
「より魅力的な相手が現れたら、気持ちが変わる可能性だってあると思うんです、キャハ★」
と、まるで聞く耳を持たず。
ちなみに客子は、黒髪ロングの貞子ヘアー(こだわりらしいが、オカルトっぽい)、常にノーメイク。
なのに、喋り方はキャピキャピしたぶりっ子口調。
魅力的とは程遠い…と思う。

882: 878 2009/07/27(月) 00:54:34 ID:05tsTjluO
また、客子は俺だけではなく、店やその他のスタッフにも執着?していて、
「私はスタッフみんなと仲良し!
みんなに愛されている良いお客さん!」
と勘違いしているような節があった。
…まぁ、なんというかイタイ…失礼、困ったお客さん。
閉店後の店内で、笑いのネタになることも多かった。

そんなある日、いつものように俺指名でカットをしにきた客子。
ひととおりの施術を済ませ、仕上げを後輩に任せて、俺は席を外していた。

以下はその間に、後輩と客子の間で交わされた会話。

884: 878 2009/07/27(月) 00:56:44 ID:05tsTjluO
客「ここのお店って、みんな仲良いですよね~★」
後「あぁ、そうですねー。プライベートでも結構集まったりするし、人間関係は良いっすね」
客「そうなんだ~!みんなで何してるの~?」
後「いや、普通に飲みに行く程度ですけどね。定休日の前の日とか、大体○○(店の向かいにある居酒屋)で飲んでますね、笑」
客「え~っ、いいな~★客子も行きたい~★」
後「ハハハ…」

そして、その数日後。
営業を終えて、明日は定休日、みんなで飲んで帰るか、と店を出るスタッフ一同。
その目の前にいきなり客子が現れる。
ビクッとする俺たちをよそに、キャッキャと楽しそうな客子。
「今から皆さんでごはんですよね~!
ご一緒させて下さ~い★」
一同あぜん…、ていうか怖っ。
しかし、一応お客さんだし、邪険に扱うことはできない。

885: 878 2009/07/27(月) 01:00:04 ID:05tsTjluO
店長が申し訳なさそうに、
「定例のミーティングを兼ねた食事会なので、残念だが遠慮してもらえないか」
という旨を丁重に伝える。
最初は渋っていた客子だったが、スタッフ全員で、
「また店に来て下さいね!」
「楽しみにしてます!」
と、盛大にゴマをすると、機嫌を直して帰って行った。

その日の飲み会は、客子の数々の珍行動、迷ゼリフをネタに大盛り上がりのまま終了。
休日を彼女子の部屋で過ごすのが定番になっていた俺は、
みんなと解散した後、彼女子と2人で帰途についた。

そんなことがあった数日後、とんでもない事件が起きる。
仕事を終えて、ひとりアパートに辿り着いた彼女子を、客子が待ち伏せしていたのだ。

892: 878 2009/07/27(月) 01:13:28 ID:05tsTjluO
硬直状態の彼女子に、泣きながら詰め寄る客子。
「彼男さんと付き合ってるのって、あなた?」

ここからは彼女子から聞いた話。
鳴咽混じりで支離滅裂な会話だったらしいが、客子の話を要約すると、こう。

・飲み会の日の夜、俺男と彼女子が一緒の部屋に帰るのを見た。
・彼女子のことは、親友(!?)だと思って彼男とのことを相談していたのに、酷い。
・店のメンバーはみんな、私と彼男の仲を応援してくれているのに、どうして私がこんな目に遭うの。
・彼女子が身を引いてくれさえすれば、すべて済む話だ。

謝る&なだめることしかできない彼女子。
こんなやりとりが延々2時間近く続いたらしい…。
お互い落ち着いてからゆっくり話し合いましょう、と客子をなだめ、
ようやく帰ってもらったのだ、と彼女子から電話で報告を受けた俺。
さすがに笑い話では済まなくなったので、すぐに店長に報告の電話をし、
翌日から彼女子を家まで送り届けることにした。

897: 878 2009/07/27(月) 01:19:15 ID:05tsTjluO
その翌日、美容室に1本の電話が。
案の定、相手は客子(泣き声)。
運悪く電話をとってしまった店長相手に、またしても支離滅裂な話を繰り広げる客子。
「私…、やっぱり俺男さんとは結ばれない運命なのかな…クスンクスン。
店長さん、Aくん、Bくん、Cさん(店のスタッフ達)…、応援してくれたのに、ごめんなさい…クスンクスン」
が、その日は祝日。
客が大入りで、てんやわんやな状態の中、そんな話など聞いていられなかった店長は、
「また閉店後に折り返しますから!」
と、電話を切ってしまう。

そして閉店後、店内を片付けていると、店の外に佇む人影が…。
虚ろな目をした客子だ。
しかも、両手首にこれ見よがしに包帯を巻いての登場。
ガクブル状態のスタッフ。

こうなったら、正直に話して納得してもらうしかない。

901: 878 2009/07/27(月) 01:23:41 ID:05tsTjluO
店長から、
「とにかく穏便に!低姿勢で!下手に刺激するな!やばくなったら電話しろ!」
と忠告を受け、客子を伴って歩いて行ける距離にあるマックへ移動した。
道中、客子にそっと手を握られるが、頭を掻くふりをして、振りほどいた。
彼女子とその他スタッフは、マック駐車場で待機。

テーブルにつくなり、
「言いたいことがあるなら言って」
と客子。
お前が何か言いたくて来たんじゃないんかい!と思いつつ、ゆっくりと語りかける。

・客子の気持ちにはなんとなく気付いていた。
・が、彼女子と真剣に付き合っているので、気持ちに応えることはできない。
・客子は俺にとっても店にとっても大切なお客さんなので、傷つけると思って、本当のことが言えなかった。申し訳ない。

…というようなことを話す俺。

903: 878 2009/07/27(月) 01:27:08 ID:05tsTjluO
話し終わると、それまで何の反応も示さないままだった客子が、思いもよらない行動を起こした。
なんと、遠い目で窓の外を眺めながら、弱々しい声で歌を歌い始めたのだ。
「いつも一緒に…いたかった~♪隣で笑っていたかった~♪」
曲は、プリンセスプリンセスの「M」だった…。

呆気にとられる俺。
「あ、あの…、客子さん…」
呼びかけても、無視して歌い続ける客子。
仕方ないので、歌い終わるまで待つことにする。

「消せないアドレス~♪Tのページを~指で~辿ってるだけ~♪」
の、くだりで、俺、思わずブホッと吹き出す。
言わずもがな、Tは俺のイニシャル(現曲ではM)。さすがに失礼だと思い、ゲホゲホと咳をしてごまかした。

歌い終わると、客子はにこ…っと淋しげに微笑み(不気味)、
黙って席を立ち、店を去っていった。

906: 878 2009/07/27(月) 01:32:34 ID:05tsTjluO
そしてその翌日、開店前の店の前に、客子からの手紙と、トリートメント剤が置いてあった。
トリートメントは、以前、
「今日、誕生日なんですぅ★」
と、過剰アピールする客子をスルーできず、誕生日プレゼントと称して渋々渡したもの(業者さんがくれた見本品…)。

手紙には
「俺男さんへ
持っていると辛いから、プレゼント、お返しします。
生まれ変わったら、もっと早く客子を見つけて下さいね。
…with Love」
と書かれていた。

907: 恋人は名無しさん 2009/07/27(月) 01:33:54 ID:f8sujevwO
歌こえー!
しかも古い!!

909: 878 2009/07/27(月) 01:37:32 ID:05tsTjluO
長くなりましたが、これで終わりです。
消化不良なままでごめん。

客子はそれきり店にも現れず、消息は不明。
例の手紙は今もスタッフルームの壁に飾られています。

深夜にお付き合いありがとうございました。

引用元: ◇修羅場◇part77